2013/02/10

米国連邦最高裁判事の回顧録

アメリカ連邦最高裁判所判事のSonia Sotmayor(ソニア・ソトマイヨール)が自身の幼少時代から連邦地方裁判所判事になるまでを綴った回顧録「My Beloved World」がニューヨーク・タイムズの「Best Sellers」ハードカバー・ノンフィクション部門で、3週連続1位になっている。

ソトマイヨールは、2009年にヒスパニック系アメリカ人で初、女性では3番目に連邦最高裁判事に任命された。
プエルトリコ移民の2世で、ニューヨークのブロンクス育ち。低所得層向けの公共住宅で暮らし、小児糖尿病にかかり、9歳で父親が死亡。
「困難を抱えた人だって、ハッピーエンドが可能だということを知ってもらいたかった。」
本の前書きで、この回顧録を書いた目的をこう書いている。

また、こうも書いている(意訳)。
「自分の夢が叶うかどうか、その可能性で夢の価値を決めてはいけないと、私は経験から学んだ。夢に向かって進む自分の気持ちの強さにこそ価値がある。結果的に違う方向に進んだとしても少なくとも前進することはできる。ゴールにどれだけ近づいたかではなく、今までやってきたことこそが成功するための正しい方法だったと気づくだろう。」

自分の求めていたゴールと違う結果になったとしても、その過程が大事だということ。自分のやりたいことのために、とにかく必死で動いているのか・・・と考えさせられる言葉でした。

また、この本に関して個人的に面白かったのが、そもそも最高裁判事が回顧録を出版すること自体、日本だったらきっとありえないなということ。しかも、本の宣伝のために、テレビのトークショーに出たり。
アメリカのロースクール生は、連邦最高裁判事9人の名前をすべて言え、しかもどの人がどういう考え方で、どういう判決文を書くかもよく分かっている。これには本当に驚いた。
私は日本の法学部に通ったし、今ではメーカー法務部で働いているけど、日本の最高裁判事の名前など誰一人として言えない(自慢することでもないけど・・・)。
でもアメリカでは、最高裁判事がもっと身近な存在な気がする。ソトマイヨールの本の宣伝を兼ねた地方講演会兼サイン会 には多くの人が詰めかけており、ニュースでもその様子が伝えられる。
司法に対する日米の感覚の違いがよく分かり面白い。

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